荒陵山 四天王寺 その3 |
聖徳太子ゆかりの引導石にして四天王寺四石(転法輪石・熊野権現礼拝石・伊勢神宮遥拝石・引導石)の一つに数えられています。
西門をくぐるとすぐ右側に石棚で囲まれた「引導石」と呼ばれる石台があります。古記録によれば葬送の時、しばらく棺を鳥居の前に置き、聖徳太子の引導鐘を三打うてば、聖徳太子自らこの引導石の上に影向(ようごう)され安養の浄土にお導き下さると伝えられています。
引導とは釈尊が「生者必滅・会者定離」の人生無常の迷いの世界より人々を究極の悟りの世界へと導かれたことに始まり、その引導の教えは四天王寺西門から始まりました。彼岸信仰と彼岸中日に夕陽を拝する日想観によって興隆した浄土信仰の中に結実し、臨終に際して諸仏諸菩薩の聖衆が極楽浄土にお導き下さるとの信仰を生んだのであり、聖徳太子信仰と西門信仰を結ぶ重要な霊跡となっています。
四天王寺に納骨の信心の参詣者は六時堂参詣の前に、この引導石に詣でて、御遺骨を聖徳太子影向引導五輪宝塔の内に安置し傍らに鐘を三打つき、霊位の往生極楽を祈り六時堂にて納骨法養を営むのは太子の引導に預かり給うことに疑いはありません。
経木にて先祖回向の場合も同様に、まずこの引導石に詣でて各お堂にて回向を受け亀井堂の霊水、白石玉出の水に経木を流せばその功徳は広大のものとなります。また俗説では、遊女などお寺でお葬式をあげられない者のお棺を置き、迷いなく成仏できるように引導を聞かせたのだとも言われています。
ご宝号 南無聖徳太子救世菩薩
ご真言 「おんばらだはんどめいうん」を唱えて鐘を撞けるようになっています。
参考引用掲載 大阪を歩く
写真 ro-shin