会下山(えげやま)善光寺 |
少年武者 平業盛(なりもり)
業盛は清盛の弟教盛(のりもり)の末子である。一ノ谷の戦に平家方は大敗離散し、当年十七歳の少年業盛は緋縅の鎧で連銭葦毛の馬に乗り唯一人行き先を打案しつつ駒を渚に立たせて居た。
折柄源氏方泥屋四郎及び其弟五郎が追撃して来たので之を迎えて奮戦し遂に兄四郎と馬上に引き組んで地に落ちはげしく揉み合上に重なったまま古井戸に落ち込んだ。
弟五郎は兄の危急を救わんとして業盛の甲の錏を力まかせに引き離そうと焦る。業盛は之を防ぎ兄四郎を殺そうとして一生懸命である。業盛はまだ少年とは云へ其の大力は大人も及ばぬ位であったので彼が五郎を振り離そうとして首を振ったはづみに甲の緒が引切れ、五郎は業盛の甲を持ったまま二間程も振飛ばされた。
併し五郎も去る者で之にひるまず直に立ち上がり業盛の首を打ち取った。少年業盛の剛勇と怪力に敵も味方も其死を惜まぬものはなかった。
参考引用掲載 善光寺縁起 掲示板より
写真 ro-shin