新西国巡礼 <第13番 満願寺> |
●御詠歌●
むら雲は あとなく晴れて 寺の名の 願ひも満つる もちの夜の月
当寺の開基、勝道上人は、日光補陀洛山の開基と知られ、聖武天皇の勅願を受けて、全国六十州余りに諸願満足の霊場を建立されたことから満願上人といいました。
兵庫県川西市満願寺籬東4☎0727-59-2452
●本尊 千手観世音菩薩● 勝道上人
-----------------------------------------------------------------------
法話
自然保護と仏教寺院 満願寺住職 若田等慧
周囲を自然の山々に囲まれて、古来日本の山岳仏教寺院は独特の修行道場としての相貎を今日まで伝えてきました。
それは、日本人の心の奥深くに眠る自然崇拝(アニミズム)の思想と無縁ではありません。
弘法大師空海は若い日、山林抖藪(とそう)を通じて、自然の持つ神秘の気に深く触れられ、これが後の真言密教の体系を獲得されるのに強く結びついたものと言われています。
現代人は森林浴と称して自然の発する気を求めて山林の中へ歩み入ったりしていますが、それが現代文明に疲れた私たちの心身に、健康の回復をもたらすのであるなら大いに結構なこと。
また森林浴の出来るような天然の自然環境こそ、現代の私たちが保護の対象としなければならない場所でありましょう。このような場所の一つに「鎮守の森」があります。
昔から、わが国の社寺の周囲に広がる天然林は「鎮守の森」として、人々に親しまれ、かつその森厳なたたずまいから畏敬の念を呼び起こすものでした。
それが、信仰の上からも、あるいは景観の上からもさまざまな障害をのりこえて社寺林が保護されてきた理由であり、さらに現在では、自然の生態学的な見地からも大いに見直されてきています。
私たちは、先人の遺産を守るだけでなく、これらを現代に活かす道を探らねばならないと思われます。
<参考引用掲載>新西国霊場法話巡礼 朱鷺書房