西国薬師巡礼<第7番 久米寺> |
法の水 久米のみてらへ 流れ来て 濁るこころを す萬すもろ人
また一丈六尺の本尊の体内には一寸八分の小さな金属製立像薬師如来がおさめられています。
帰国した弘法大師空海が宝塔内で経王を講賛し、はじめて真言密教を弘伝した真言宗最初の根本道場です。
また、衆生の中風と下の病気を除くために薬師に誓いを立て自ら孟宗竹の箸を作ったため、竹箸を使うと中風除けと長寿が得られると言われています。
奈良県橿原市久米町502 ☎07442-7-2470
●本尊 天得薬師瑠璃光如来●開山 来目皇子
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法話
いい縁(出合い) 久米寺住職 密門成範
当山は大和の中南部にあり、昔から国のはじまりのまほろぼと言われる飛鳥に近く、神武天皇御陵も隣に位置しています。
さて、久米寺東塔において弘法大師(空海)さまが大日経を感得された事はよく知られています。この経典は真言宗の根本的経典であります。教に「如実知自心」とあり、これは自分の生命が仏さまの大いなる生命と同様であると言う事ですから「生かせいのち」と言う音でもあります。この自覚を忘れない事が即身成仏(この身このまま生ける菩薩となる)への道です。
物質的に恵まれている今日、生命の尊さを無視するように若年者の自殺を始め、悲惨な種々の事件が起こっています。現代は、物の豊かさに反比例にして、心が空虚、衰弱しています。私たちはいかにしたら幸福に生きられるのか、それは自分たちの身のまわりに、いい縁を、職場に、家庭に、隣人との関係においても、いい出会い(縁)を結ぶよう努力する事です。
いい縁を結ぶにはどうしてらいいのか、それはまず自分が相手の為にいい縁になってあげられるように努力すること。そうする事によって相手が少しでも良くなる事が、自分のまわりにいい縁を結ぶ事になります。
つまり生きとし生けるものみんな、この大宇宙全体にみなぎる仏(大日如来)の生命を受けて、今ここに生かされ、お互いにその働きによって支えあっているのです。
また、そこにこそ人生行路の指針があると思われます。
<参考引用掲載> 西国四十九薬師巡礼 朱鷺書房