西国薬師巡礼<第16番 荒陵山 四天王寺> |
かしこしな 法のはじめの 名をとりて なにわの寺は
すえの世までも
日本仏法最初の大寺
まだ十六歳だった聖徳太子が廃仏派の物部守屋との戦いで勝利を祈願し、593年建立されたと言われています。
その後、幾たびかの戦火や天災に遭いながらもその度に再建されてきました。
薬師如来を本尊としてお祀りする六時堂は、1617年再建された姿のまま今に伝えています。亀の池の北側に建っています。
大阪市内で最大の寺域を持つ四天王寺は、また宗派を越えての信仰を集めています。毎月21日のお大師さんには露天も出て数万人の人で賑わいます。
大阪市天王寺区四天王寺1-11-18 ☎06-6771-0066
●本尊 救世観音 六時堂本尊 薬師如来●開山 聖徳太子
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法話
四天王寺のお薬師さま 四天王寺元管長 槙場弘映
お薬師さんは、正式には薬師瑠璃光如来と申しまして、四方浄土のうち、東方浄瑠璃世界の教主であります。
他の浄土は南方釈迦如来の寂光浄土、西方阿弥陀如来の極楽浄土、北方弥勒菩薩の兜卒浄土となり、四方四仏の浄土を形成しております。
文楽を浄瑠璃といいますが、この言葉は薬師浄瑠璃浄土から来たものといわれています。薬師如来はこの他大医王如来とも呼ばれるように、医学の仏、つまり病気平癒のご利益があるといわれ、左手には薬壷をお持ちになっておられます。
さて、当四天王寺では、伽藍の北、亀の池前の六時堂(正式には六時禮講堂と申しますが)にご本尊としておまつりしています。
この六時堂は、かの比叡山、天台宗の開祖伝教大師が弘仁七年当寺に参籠された折に、根本中堂を模し、国家の安泰を祈念するために建立されたものと伝えられています。六時堂の前の池は浄土を表し、ここで聖徳太子の御霊をしずめる精霊会や、念仏会などの大きな法要が営まれてきたのであります。中世には薬師講がこの六時堂で組織されるなど、薬師信仰の隆盛が知られています。
今日、六時堂は四月二十二日の精霊会や、千日まいりの法要場となる他、ご先祖回向やご祈祷のために、毎日たくさんの人々がお参りになるお堂であります。
<参考引用掲載> 西国四十九薬師巡礼 朱鷺書房