豊かな福々しい心をおこそう |
迷悟(めいご)我にあれば、
発心(ほっしん)すればすなわち到る。
般若心経秘鍵 全集一
道理に迷って、ウロウロとよからぬ道にふみ迷って悩み苦しむのも、自分の心の中の仏心に目覚めて、力強く正しい仕事に励むのも、みな自分の決心次第であるから菩提心(仏様のような清らかな豊かな福々しい心)をおこし、実生活に生かしさえすればしだいに心の中が楽になり明るくなって、ほほえみをうかべて暮らせるようになる・・・と。
仏教では悟りを求める方向を、上求菩提(じょうぐぼだい)、下化衆生(げけしゅじょう)という。
上に向かってはみ仏の平安な境地に近づいて生きようとつとめ、下に向かっては生きている人々を安楽な方向へと誘っていく・・・という人としての正しい生き方である。
したがって発心とは、まず自分は何に向かって、この生きている生命のエネルギーを燃やすか、を正しく定めることである。体を動かして役に立つのもよい。言葉や文字で役立つのもよい。心を温かく持ってよい思いを送るのもよい。まず菩提心を起こすことによって、自他を損なう心の動きは制され人は明るく生きる軌道に乗ることができる。
引用掲載 弘法大師空海百話 佐伯泉澄 著者