上善寺 北区鞍馬口通寺町東入ル
地下鉄「鞍馬口」下車徒歩5分
鞍馬口地蔵は、地蔵を安置する上善寺が北区鞍馬口にあることから名付けられたものですが、もとは「深泥池みどろがいけ地蔵」または、「姉子地蔵」と称されていました。
上善寺は平安初期に天台密教の道場として千本今出川付近に創建され、江戸時代に浄土宗に改め、後柏原天皇の勅願寺となった大寺です。地蔵堂は境内の右手にあり、大正七年(1918)の再建になる、四注造りの建物です。
高さ約2m、大きな木造漆箔の立像で、右手に錫杖、左手に宝珠を捧げる通有の形で、豊満な肉身は極彩色に彩られ、首からかけた瓔珞も美しく、特に、細長い顔に耳たぶの長いのが注目されます。古来、六地蔵めぐりの一つとされるのは旧地の深泥池によるものでしょう。
高さ1.6m、花崗岩の自然石いっぱいに舟形光背をつくり、表面に両手を合わせたおだやかな大日如来蔵を厚肉彫りに刻んでいます。かなり風化していますが力強い表現は鎌倉時代中期を下らないものです。
地蔵堂の横手にある石仏群は鎌倉時代後期の作とみられます。
高さ1m余り花崗岩の表面に立像の地蔵尊を半肉彫とし右手を下げて与願印、左手に宝珠を持っている。錫杖を持たない古様の姿が珍しいです。
鎌倉末期より江戸期に及ぶ多くの石仏や残欠があって、中世以降の民間信仰の推移を知る上での貴重な民族資料となっています。
参考引用掲載 京のおじぞうさん 竹村俊則著
写真 ro-shin