<第一話 役行者の誕生>役行者物語 |
母は都良女といい、葛城の社に奉仕するようになってから神のお告げを受けるようになっていきました。
出雲の国からお婿さんを迎え幸せに暮らしていましたが世継がなかなか授かりません。
ある夜、都良女が眠っていると暗い闇の中からキラキラと金色に輝く短い剣のようなものが浮かんで、それが静かに下りてきて、いきなり都良女の口の中に入ってしまいました。
それは一本の金剛杵でした。(金剛杵はもともとインドの武器で剣が一本のものを独鈷杵ともいい仏具にもなっている。)
都良女はびっくりして目を覚まし夢であったことを知ります。
それは甘葛をなめたように甘く一生の間甘かったといわれます。
その後、都良女のお腹は段々大きくなっていき、玉のような男の子を産みました。
「オギャア、オギャア」と元気な大きい声でないた泣き声が
「私は世の中の人々を救うために天から使わされてきた」と言っているように聞こえます。
都良女はわが子ながら、不思議で、心配で、子供を抱くことができません。怖くて家の近くの林の中にそっと置いてきます。
「だんだん弱っていっている」と思って見に行くと、不思議なことが起こって、林の中で鹿や小鳥たちに見守られてニコニコと笑っています。都良女は見捨てることができず抱きかかえて家へつれて帰ってきました。ここから役行者の一生が始まる事になります。
< 参考引用 著者 銭谷武平 「役行者ものがたり」より>
今日から役行者にまつわるお寺などを織り込みながら掲載して行きますのでよろしかったら読んでみてください。