<第六仏 弥勒菩薩> |
弥勒とはマイトレーヤー、すなわち「いつくしみ」と言う意味です。南天竺の波羅門に生まれ後、釈迦の弟子となって未来に必ず成仏するという授記をうけ、今もなお兜卒天で説法教化していると言われています。
ちなみに兜卒天とは仏教の世界観における天界の一つです。そこには美しい風景や天女や子供たちが存在し下界に降りる菩薩が待機する場所になっています。すでに釈迦が降下し今弥勒が待機しているのです。弥勒は56億7000万年をすぎると地上に出現し、竜華樹のもとで悟りを開いて釈迦如来の教化にもれた人々を救う為に三度に渡って説法をし、初会に96億人、二会に94億人、三会に92億人の衆生を済度し平和でゆたかな弥勒浄土をうちたてます。
☆京都 広隆寺の弥勒菩薩 (半跏思惟像)金剛界
足を組み、腰かけて右手を頬の辺りに上げ思考している姿
気が遠くなる程の未来における世界と人間のあり方を弥勒菩薩はじっと考えられています。
ただいま思考中なのです。右手を頬に近づけ指を曲げられているお姿は、どうしたら人々の心を救うことが出来るだろうと考え始めた瞬間のポーズがこの仏像のお姿となったと言われています。
参考写真(西村公朝「祈りの造形」日本放送出版協会発行)掲載
この弥勒菩薩は、和歌山高野山のふもとにある慈尊院の境内に安置されている弥勒菩薩です。
このお寺の本尊は弥勒菩薩さまで秘仏になっています。
弘法大師空海も高野山の奥院に入定されるとき「自分も兜率天に往生し、弥勒菩薩に仕え五十六億七千万年ののちに、必ず弥勒菩薩とともに下定せん」という意味のことを遺言されています。