新西国巡礼 <第25番 太山寺> |
祈りなば 三つの世やすし 三身山 浮世のほかの 月の照らして
この寺は藤原鎌足の祈願によって、その子定恵和尚が開基となり、鎌足の孫宇合卿(うまかい)にいたって堂塔伽藍が完成しました。716年と伝えられています。
神戸市西区伊川谷前開224 ☎078-974-0250
●本尊 薬師如来 十一面観音●開基 定恵和尚
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法話
こころの花束 太山寺住職 山田定恵
ある仏教者が「こころの花束」運動を提唱しておられました。自然の野山に咲く花は人々のこころを暖かく豊かなものにしてくれます。
部屋の中に一輪の花が飾られているだけで雰囲気はぐっとあたたかくなりますし、
花束をもらって怒る人はいないでしょう。
思えば私たちの暮らしの中に自然の花が少なくなってきました。
それとともに人々のこころも殺風景になって来たように思います。
暮らしの中にもっと自然の花を。
それと同時に心の中にも花束を、「ほほえみと愛語」の花束をというのです。
まず、ほほえみ。「咲く」には「わらう」という意味もあります。嘲笑、追従笑いなど、好ましくない「笑い」もありますが、花の咲くようなほほえみは、何にも代え難い花束となるに違いありません。
「愛語」は、愛情のこもったいつくしみの言葉です。
道元禅師は「愛語は廻天の力あり」といわれました。天地をひっくり返すような力が愛語にはあるというのです。自分が悩んでいる時、苦しんでいる時、真実の一言に触れて目の前がパッと開けた、それが人生の大きな転機になったという体験をお持ちの方もいるかと思います。
まさしく愛語の力と言うべきでしょう。最近では愛語どころか朝夕の挨拶すらしない人が増えました。寂しいかぎりです。
「こころの花束」が街にいっぱいになった時、どんなにこの世の中が明るくなることでしょうか。
<参考引用掲載>新西国霊場法話巡礼 朱鷺書房