西国薬師巡礼<第12番 幡川山 禅林寺> |
うきまよひ るりの光に てらされて はれゆくくもの
はたがわのてら
幡川のお薬師さんとよばれて親しまれているこの寺は唐の青龍寺の僧、為光上人が聖武天皇よりこの地を頂き、勅願の修行道場として建立し薬師如来を本尊としてお祀りしたのがはじまりとされています。
1585年豊臣秀吉による南征のため焼きつくされ広い寺領も没収されたりと災難にあってきました。多数の文化財も焼失しましたが、平安時代室町時代の古文書などが残されています。
●本尊 薬師如来●開山 為光上人
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法話
健康を守るお薬師さま 禅林寺住職 阿部光正
本堂正面の参道を歩いてこられる時、右側を眺めてください。山と山とに挟まれた奥深い谷間に、今から約千二百余年の昔、中国の為光上人が中国より薬師如来さまを奉持しこの土地に七堂伽藍と十二坊を建てられたのですが、天正十三年(1585)に秀吉の放火により全焼されたのです。皆様の頭の中にこれらの事を描きながら、本堂にお参りしていただきたいのです。
現在の本堂は中興秀慶僧正が再興された建物で、お厨子の内にお参りしているご本尊薬師如来さま(乾漆造)は、秀慶僧正が再興を志した折り、ご本尊がなくて困っていた時、桧前という山頂より夜になると光がさし、不思議に思って登ってみるとご本尊のお首が光っており早速寺に移し、京都の仏師高慶にご尊体を作らせたのでした。「わが名号を一たび耳に聞くとき願いとどけん」の請願通り多くの人々が救われて、この薬師如来さまはこの地方に無くてはならぬご利益のある仏さまで有名です。境内には百六十年前に新四国八十八カ所霊場や十三仏などお祀りしていますから、あわせてゆっくりお参り下さい。
<参考引用掲載> 西国四十九薬師巡礼 朱鷺書房