西国薬師巡礼<第21番 東光山 花山院菩提寺> |
有馬富士 麓の霧は 海に似て 波かと聞けば 小野の松風



兵庫県三田市尼寺352 ☎0795-66-0125
●本尊 薬師如来●開山 法道仙人
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法話
自らの仏性(霊性)を求めて 花山院菩提寺住職 山本光洋
人がもしこの世がすべてと思うならば、わが肉体をも含め万象万物は己れの意思に関係なく移り変わりゆき、その中に無条件で服従しなければならない自分とは何か、そして大宇宙の悠久たる時の流れの中で、まるで一本のマッチが燃え尽きるごときの存在として映る自分の人生を思ったとき、今を思い、ここにこうして活動して生きている自分が、それだけのものかと思うと、惨めで儚い存在に思えてまいります。しかしながら、神仏が創造された私たちがそんなちっぽけな存在なのでしょうか。
肉体は両親から頂いたものではあるが、それを操縦している本当の自分と言うものがあると気づくことができたとき、そしてその本当の自分を存在せしめてくれたものは何かと理解できたとき、真に神仏の子としての自覚が得られるのではないのでしょうか。
その時にこそ、神仏に生かされている自分であると感じることができると思います。日々生かされていると言うことは、俗っぽい言い方をするならば、日々ご利益をすでに得ていると言うことです。それゆえ巡礼を志す人に望むものは、巡礼できる自分を感謝し、巡礼をしてご利益をいただくのではなく、巡礼を通じて真に仏の子として目覚め、日々より一層神仏のご加護をいただける自分となるために巡礼をしていただきたいと思います。
<参考引用掲載> 西国四十九薬師巡礼 朱鷺書房