西国薬師巡礼<第27番 紫金山 天寧寺> |
紫の 雲のたなびく 天寧寺 何時もたえせぬ 法の声かな
開山の愚中禅師は、天寧寺を開くにあたっては、留学の地にちなんで山号を紫金山と号し、山下の小川を揚子江と呼び、まず、我が師即休の像を祖師堂に祀って師恩に応え修行と庶民の教化にあたったとのことです。
京都府福知山市字大呂1474 ☎0773-33-3448
●本尊 薬師如来 ●開山 愚中周及
---------------------------------------------------------------------
法話
心の点検を 天寧寺住職 田中禅徹
天寧寺の開山、愚中周及禅師は今より650年前、天龍寺を船に乗って、元の国へ入られ、揚子江中流鎮江の金山寺で即休和尚について真参実証、師より法を継いで帰朝された日本禅宗二十四流の一人に数えられる禅僧であります。
本当の自分、本当の心を求められたのであります。帰朝後愚中禅師は、華やかな都には住することなく、ここ丹波の山間僻地で、名利を捨てひたすら修行の工夫をこらされたのでありました。このような開山の禅風を偲びつつ、さて私たちは考えてみますと、「忙しい」という言葉にふりまわされている毎日ではないでしょうか。
物質があふれ、心を忘れている現代社会にあって、動の世界をしっかりつかむことが現在私たちに一番求められていることであります。
幸い天寧寺は、紫金山の原生林を背後に、山下には揚子江(大呂川)が流れる自然と静寂が残っております。時にはこの天与の環境の中で座禅をして、身体と呼吸と心を調え、自己を見つめなおす機会を、お一人でも多く持っていただきたいと思っております。
<参考引用掲載> 西国四十九薬師巡礼 朱鷺書房