洛陽観音巡礼 <第22番 城興寺> |
うたかひも あらでたすくる ぢょうこうぢ
ほとけののりぞ たつとくりける
藤原道長が邸宅九条殿を構えた広大な土地を、三代後の藤原忠実が受け継ぎ、永久元(11113)に鎮護国家の道場として寺院を建立しました。これが城興寺の起源です。
九条大路に面した南大門から放生池、仁王門、金堂、講堂が一列に連なり東に多宝塔と鐘楼、西に御影堂がならぶ文字通りの大寺でした。城興寺はその後、天台座主最雲親王法親王へ、さらに後白河天皇の子以仁王へと引き継がれました。
その恨みが、後の以仁王の令旨につながったのではないかとの説があります。
戦乱や火災で寺域は縮小し今は応仁の乱後に再建された質素な本堂を残すのみとなっています。本尊の千手観音は創建時のもので、慈覚大師円仁が承和五年(838)に遣唐使の一員として入唐した際に無事な帰朝を念じて船中で彫り上げたと伝えられています。像高25cm大の秘仏です。本堂には御前立ちの千手観音菩薩を安置しています。創建900年にあたる2013年に秘仏の特別開帳を予定されているそうです。
城興寺は近年、聖観音を心願こめて書写する「写物の寺」として静かな人気を集めています。
京都市南区烏丸九条上ル西入ル ☎075-691-3614
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参考資料
「洛陽三十三所観音巡礼」平成洛陽三十三所観音霊場会
「京都観音めぐり」京都新聞出版センター