あなたも、私も仏の子 |
上大日尊より、下、六道の衆生の相に至るまで、
各各の威儀に住して種種の色相を顕わす。
並びにこれ大日尊の差別智印なり。
更に他身にあらず。
大日経 開題
上は大日如来から諸仏菩薩、諸天善神より、下は六道(天・人間・阿修羅・畜生・餓鬼・地獄界)の生あるものの姿に至るまで、各々の自分の特徴のある姿形をし、それにふさわしい住処にすんで、上から下まで種々さまざまな世界を形成している。この全ての世界を、み仏の深い悟りの境地から観見するならば、これらは、皆、大日如来のさまざまに姿を変えられた差別智印であって、み仏と同じく清らかで美しい心と身体をそなえている。さらに他の何者かの身体から生じたものではない・・・と。
この教えは「果上の法門」といって、お大師様が悟られた仏の境界をそのままお述べになったものです。あなたも仏の子、私も仏の子、その持場持場によってそれぞれの特色を発揮しながら、この世を荘厳しているみ仏の家族に他ならない。あなたも私も、大日如来の差別(一人ひとりの特徴をもった)智印(知恵と慈悲の活動をする主体)の一徳を法持して生きる、一聖衆(いちしょうじゅう)である。その生命の光を輝かして、一隅を照らす仏の子としての役目を持っている・・・と太鼓判を押して下さっているのである。
引用掲載 弘法大師空海百話 佐伯泉澄 著者