龍華山 明王寺 |
神戸市垂水区名谷町1900 ☎078-707-0163
垂水区内で一二を誇る転法輪寺と明王寺は直線距離で500メートルしか離れていません。
『名谷誌』によると幾度もの火災に見舞われた転法輪寺を守るために不動明王を現在地に安置したのが明王寺の始まりと説かれています。また江戸・元禄年間に成立した旧明石郡最古の『采邑私記』にも、中世に転法輪寺から出た旨と記されていますが昭和3年に記された『明王寺縁起』には二寺の関連を裏付ける記述はありません。あくまで独立した寺院として伝説的来歴が述べられています。しかし、平城・宇多の両天皇の名や「春日の神霊」などが共通する他、山号の龍華山が同一なのは意味深長です。
縁起によると延暦二十年(801)平城天皇が開基した霊殺で、厳賀上人の開山、菩提僧正作の不動明王を安置。翌月3月にわかに黒雲が山上を覆ったさい、厳賀上人が怪しんで見ていると、龍王が雲の上からやってきて「華」の上に横たわった後、上人に三度頭を下げた。上人は龍王に明王の「神咒降魔しんじゅごうま」、悪魔を退散させる呪文を授けたところ龍王は昇天した。このことから山を「龍華」といい、本尊の威徳を持って「明王」と名付けた。
参考掲載 ふるさとの古寺巡礼 ビジュアルブックス
写真 ro-shin