【頭痛・咳】 合邦辻(がっぽうがつじ)閻魔堂 |
昔、河内の国高安城主の子息俊徳丸は家臣の謀反にあいました。その危難を避けるために俊徳丸はこの合邦辻閻魔堂に参籠して、堂主合邦の世話になっていました。しかし俊徳丸は、閻魔堂にかくまわれているうちに、重い悪病にかかってしまいました。そこに俊徳丸の身を案じた、高安城主の奥方玉手御前である合邦の娘お辻が訪ねてきます。
ところがかねてからこのお辻が継子の俊徳丸に恋をしているといううわさがありました。そのことに怒った合邦はついカッとなって、娘のお辻を剣で刺してしまいました。お辻は「恋とは偽りで、敵を欺くための計略」といいつつ、寅の年、寅の月、寅の日、寅の刻に生まれた自分の生き血を俊徳丸に飲ませました。すると俊徳丸の悪病はたちまちに治癒しました。 疑いはすっかり晴れたのですが、もう元には戻りません。合邦が泣く泣く鐘を叩くとその場に居合わせた人々は百万遍の念仏を誦しました。お辻は、そのなかで静かに息をひきとりました。
これは浄瑠璃「摂州合邦辻」の大筋です。(東京国立劇場で39年ぶりに坂田藤十郎が玉手御前を演じる。11月3日〜26日)
また鶴橋の近くに俊徳街道があり、近鉄大阪線に俊徳道という駅があります。これは俊徳丸が高安城から合邦辻閻魔堂に向かう時に通った道だからこの名がついたそうです。
俊徳丸の病気が治ったことにちなんで、このお寺の閻魔さまは首から上の病気を治すことで知られています。閻魔堂では頭痛・脳病・咳などご祈祷を行ないお守りを授与しています。
大阪市浪速区下寺3-6-11 ☎06-6632-2749(西芳寺)
参考引用 関西ご利益の寺社 写真 ro-shin