近江湖南 <第25番 歓喜山 長福院 圓光寺> |
元亀年間の兵火で両寺とも焼失しましたが、かろうじて長福寺本堂と円光寺の諸仏が焼け残りました。現在の本堂はもともと長福寺の本堂であったものです。
創建当初檜皮葺だった屋根は、現在銅版葺となっています。切妻造の仏堂は珍しく神社建築のようです。
内部は内陣・外陣・脇陣・後陣に分かれていて、密教寺院の形態を伝えています。内外陣境および内陣両脇陣境には格子戸を立て、内陣と脇陣は棹縁天井、その他は化粧屋根裏となっています。外観は円柱上に舟肘木が置かれ、内法長押は母屋から庇の間へ順に低く取り付き、板扉を釣り込むところは二重長押となっています。背面部分に連子窓と板塀が取りつけられ、妻飾りは扠首組、軒は疎垂木となっていて、内陣正面柱に「康元二年」の棟木銘が刻まれていることから、本堂は創建当初のものであることが判明しています。
内陣には厨子が置かれ、なかには旧長福寺本尊・聖観音菩薩立像(秘仏)が安置されています。
伝教大師一刀三礼の作といわれ、高さ1.14mの一木造で藤原時代の作。後深草天皇の御念持仏であったとも伝えられています。近年、8月8日・9日の御開帳日に一般に公開されていますが、普段は厨子のまえに御前立が置かれています。
本堂前参道脇には石造九重塔(国重文)1基が立っています。元来は十三重石塔であったと考えられるていますが現在は九重。九重目には宝塔の笠部分が流用されています。高さ3.94m。基礎部分二面にだけ格狭間が認められますが、そのうちの一面は後刻のものと思われます。初相軸部の四方仏のうち、三面は像容、残り一面は梵字が刻まれています。鎌倉時代中期の作です。
滋賀県野洲市久野部266 ☎077-587-0172
参考引用掲載 ホームページ「神社仏閣散策空間」
写真 ro-shin