新西国巡礼 <第33番 瑠璃寺> |
めぐり来て 札を納めの 今は身も 心もきよき 瑠璃のみ寺に
ひとすじに たのむ心を 瑠璃寺の 露のひかりに むすびとめつつ


この瑠璃寺は行基菩薩が室津に着いたさい北の方に怪光を認めその根源を見究めようととして乾が岳の麓へ来ました。その時こつ然と一人の老人が現れて「我は浄瑠璃世界の教主医王なり」といってたちまち紫黄金の仏相となって瑠璃の光を発して不思議な力を発したといいます。その時の姿を刻んだのが境内の観音堂にお祀りしている千手千眼観世音と伝えられてます。
兵庫県佐用市南光町船越 ☎0790-77-0450
●本尊 千手観世音菩薩●開基 行基菩薩
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法話
ようおまいり 瑠璃寺住職 大江秀謙
「ようおまいり」この言葉は霊場巡拝をなさる方であれば、必ず一度は何処かで聞かれたことがあるはずです。
私たち寺を預かるものは、ようこそお参り下さいました。こんな山奥の不便な山寺に・・・・といった感謝の気持ちを込めてこの言葉をかけます。また、参拝された方々はお先にお参りさせていただきました。
途中気をつけてくださいといった具合に、お互いにこの言葉を掛け合うのではないでしょうか。
何気なしにこの言葉に触れるとふと心が和み穏やかな気持ちになります。
今日こうやって参拝し、無事成満を迎えることができて本当によかった。そんな感じがお互いに掛け合っている「ようおまいり」の挨拶の中から伝わってくるではありませんか。
長い道程を何ヶ月もかけて巡拝し終えた方の顔には何ともいえない感謝の気持ちが表れているようにも思えます。
そんな時私はかって高野山で修行中、お山の師僧にいつも聞かされていた言葉を思い出します。
「世の中は、こその二の字のおきどころ、乱るるもこそ、治まるもこそ」。
いうまでもなく「こそ」という言葉の取り方によって、世の中よくも悪くもなるという意味です。
今日、私が無事参拝できるのは家で留守番してくれている嫁や子供たちがいればこそ、御本尊さまや御先祖さまがあったなればこそ・・・・・・・。
常に感謝の気持ちを忘れず素直な気持ちで日々を送れること、これが霊場巡拝する人に忘れてはならない心持ちではないかと思うのです。
<参考引用掲載>新西国霊場法話巡礼 朱鷺書房